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水のサステナビリティ:今後10年の課題

水のサステナビリティ:今後10年の課題

2023年8月2日

水のサステナビリティ:代替水源から意識の変化まで

水不足は、世界的に深刻化している問題であると同時に、多くの人道危機の原因となっている。例えば昨夏、地球の各地を干ばつが襲った。ヨーロッパや中国、アメリカ西部、アフリカも、焼け付くような干ばつに苦しんだ。残念ながら、これは目新しいことではなく、水不足が世界的に進んでいることを示すひとつの兆候に過ぎない。

「万人への地球の恵みである新鮮な水が、貴重な商品となってしまう前に、直ちに行動しなければならない。」
Portrait of Pierre Bastien
シニアパートナー, Managing Partner Belgium

農業からデータ・センターまで:水が私たちの経済の中で果たしている極めて重要な役割

水資源は年々減少している。ビジネスの生産性を確保するため、私たちは水に大きく依存している。そのため水不足は、生産の制限と利益の減少をもたらし、経済に重大な影響を与える。

事実、石油供給ショックがGDPの成長に壊滅的な影響を与えうるのと同様に、地域によっては、水不足のために2025年までGDPが最大6%押し下げられる可能性があると見積もられている。

言うまでもないが、最も大きな打撃を受けるのは農業(水消費量全体の72%も占める)である。しかし、食品、石油化学、製薬、さらにはハイテクなどの産業も悪影響を受ける。ローランド・ベルガーは、代替水源と大規模な行動変容の両方に注目し、水が経済にもたらす課題や機会について研究を行った。

代替水源は救済策になるか?

水資源が減少する中、代替水源は世界の水需要を満たす上で頼みの綱である。ローランド・ベルガーの研究によると、取り組みは既に始まっているものの、代替水源をめぐる課題と機会は依然として大きい。

  • 雨水
    降水量の多い地域において最も明白な代替水源は、言うまでもなく雨である。しかし、例えばフランドル地方などでは、雨水は今もほとんど利用されていない。家庭で消費される水のうち、飲料水品質が必要なのは平均わずか18%に過ぎないにもかかわらず、今日供給されている水の88%以上が飲料水である。ローランド・ベルガーの推定によれば、フランドル地方では、雨水の利用により2031年までに現実的に年3,000万m³の水を追加供給できる。
  • 塩水
    降水量の少ない地域では、海水を脱塩処理すれば代替水源として利用できる。最近の進展状況を見ると有望な選択肢であると思われるが、脱塩処理に伴う有害な副産物であるブライン(高濃度の塩水) の環境影響が引き続き制約となっている。
  • 家庭雑排水
    処理済み廃水や家庭雑排水の再利用は、クローズド・ループを形成し、高まる水需要を満たす上で理想的な方法である。ローランド・ベルガーの研究によると、フランドル地方では、廃水の処理により2031年までに家庭の一次水消費量の約26%を賄うことができる可能性がある。また、継続的に利用できる高品質の廃水が供給されれば、製薬業、農業、データ・センターなど、水を大量に利用する業種にとって大きなメリットになる。

加えて、水輸送や配水時の水損失も課題である。配水管網からの漏水により、毎年多量の水が失われている。

「CO2に注目する余り、加速する利用可能な水の品質・量の低下が見えづらくなっている。」
Portrait of Vatche Kourkejian
シニアパートナー
ドバイオフィス, Middle East

配水時の損失を抑制するため、給水管やポンプ、バルブのデジタル化とともに、状況を24時間年中無休で測定するスマート・テクノロジーの活用が進められている。

水消費のあり方を変えることが不可欠

新たな水源を活用するだけでは不十分である。私たちにとって最も重要な天然資源をもっと効率的に利用し、水供給を将来にわたって確保することが不可欠である。

農業は、以下の取り組みに注力する必要がある。

  • 食品廃棄物をなくす
    現在、食料のほぼ3分の1が廃棄物として処分されている。これは約16億人を養えるだけの食料であり、農業で使用される水全体の約25%に相当する。
  • 最新の節水型農業技術
    湛水かんがいからスプリンクラーかんがいや点滴かんがいに切り替えれば、水消費量を30~60%削減できる。また、水耕栽培や空中栽培、垂直農法など、他の技術を活用すれば、農業用水の需要量を、従来型農業に比べて90%も削減できる可能性がある。

企業は、以下のような方法で水利用の効率性を最適化できる。

  • 生産工程の再設計
  • 製品設計の見直し
  • 水使用量の削減
  • 廃水を回収し、処理後に再利用

一滴一滴を大切にする

考え方が自動的に変わることはめったにない。したがって、農業や工業における大規模な取り組みと家庭における小さな努力の両面において、水の無駄遣いを無くし、イノベーションへの投資を促進する上で政治が果たすべき責任は重い。

また言うまでもなく、水の再利用や分散型・ハイブリッド型水道システムを促進するインフラ投資を担う水道会社の役割も大きい。

日本でのサステナビリティ変革支援に関する詳細は、 こちら をご覧ください。コンサルティングに関するご相談は、 こちら よりお問い合わせください。

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