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日本企業に本質的なタフ・アサインメントは存在するのか

日本企業に本質的なタフ・アサインメントは存在するのか

2025年10月6日

日本の上場企業CxO・経営企画責任者向け第2回意識調査結果を発表(2)

欧州最大級の経営戦略コンサルティングファームである株式会社ローランド・ベルガー(港区、代表取締役:大橋 譲、以下、ローランド・ベルガー)は、日本の上場企業CxO・経営企画責任者200人を対象に、企業変革人材の育成のために必要なタフ・アサインメントについて「第2回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」を実施いたしました。

なお、前回「第1回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」については、 こちら をご覧ください。

調査結果の主なポイントは4点です。

8割強の日本企業はタフ・アサインメント(変革人材になるための教育 機会として、本人の能力を超えた挑戦的な職責を意図的に割り当てる配属)を実施している
②しかし、社内事情への対応や離職リスクの懸念等が背景となり、変革人材を適切にアサインができている企業は実態として12%しか存在しない
③また、「経営の意思決定に関わる機会が限定的」であることや「期間限定」配属のために、期待した効果を得られていないケースもある
④タフ・アサインメントは、意思決定に関わることができる「責任者」ポジションの方が効果実感も高い傾向にある

① 8割強の日本企業はタフ・アサインメント(変革人材になるための教育機会として、本人の能力を超えた挑戦的な職責を意図的に割り当てる配属)を実施している

86%の日本企業がタフ・アサインメントを実施していると回答。日本企業の大多数は意図的に変革人材を育てるためにタフアサインメントを実施していることが伺える
86%の日本企業がタフ・アサインメントを実施していると回答。日本企業の大多数は意図的に変革人材を育てるためにタフ・アサインメントを実施していることが伺える

② しかし、社内事情への対応や離職リスクの懸念等が背景となり、変革人材を適切にアサインができている企業は実態として12%しか存在しない

変革人材の定義ができている企業は半数以上存在するが、変革人材の把握や、質・量共に揃った状況で適切なアサインができている企業は12%ほど。特にアサインできない主な背景として社内事情への配慮や離職リスクの懸念もアンケートから判明している。
変革人材の定義ができている企業は半数以上存在するが、変革人材の把握や、質・量共に揃った状況で適切なアサインができている企業は12%ほど。特にアサインできない主な背景として社内事情への配慮や離職リスクの懸念もアンケートから判明している。

③ また、「経営の意思決定に関わる機会が限定的」であることや「期間限定」配属のために、期待した効果を得られていないケースもある

タフ・アサインメントによる配属先のポジションが経営の意思決定に携われないことにより、変革人材として育つことを阻害していることが伺える。また、配属期間が定まっているが故に、変革の「結果」にこだわらずに実績作りへの奔走や予定調和で期間満了を迎えてしまい、変革を推進する人材が育成できないという課題感が伺える。
タフ・アサインメントによる配属先のポジションが経営の意思決定に携われないことにより、変革人材として育つことを阻害していることが伺える。また、配属期間が定まっているが故に、変革の「結果」にこだわらずに実績作りへの奔走や予定調和で期間満了を迎えてしまい、変革を推進する人材が育成できないという課題感が伺える。

④ タフ・アサインメントは、意思決定に関わることができる「責任者」ポジションの方が効果実感も高い傾向にある

タフ・アサインメントによる配属先のポジションが経営の意思決定に携われないことにより、変革人材として育つことを阻害していることが伺える。また、配属期間が定まっているが故に、変革の「結果」にこだわらずに実績作りへの奔走や予定調和で期間満了を迎えてしまい、変革を推進する人材が育成できないという課題感が伺える。
責任者の立場として、経営に係る意思決定に関わる機会が多く与えられる責任者としてのタフ・アサインの方が、メンバーの立場でのタフアサインよりも効果実感が1.4倍も高いことが分かる。「意思決定」に携わることができる立場でタフ・アサインをしなければ、変革人材が育ちにくいことが伺える。

参考:変革人材は偶発的に「出現」することもある。特に課長クラスでは偶発性が高い傾向にある

元々予期していた人物以外が、変革人材として変革を主導した経験がある割合はどのレイヤも5割を超えている。特に、課長職は6割近くとなり、変革人材として「化ける」ケースも一定存在することを踏まえ、広く様々な人材にタフ・アサインメントの経験を与えることも重要であることが伺える。
元々予期していた人物以外が、変革人材として変革を主導した経験がある割合はどのレイヤも5割を超えている。特に、課長職は6割近くとなり、変革人材として「化ける」ケースも一定存在することを踏まえ、広く様々な人材にタフ・アサインメントの経験を与えることも重要であることが伺える。
「経営意思決定を迫られ、結果で判断される「真のタフ・アサインメント」を通じ、変革人材を育成しなければなりません」
田村 誠一
シニアパートナー
東京オフィス, 東アジア
「トップダウンでリスクを取っていかなくては、いつまでたっても変革人材は不足し、変革そのものも前に進まない結果となります」
野本 周作
プリンシパル
東京オフィス, 東アジア

本調査の結果を受け、ローランド・ベルガーの企業変革チームの責任者でシニア・パートナーの田村誠一は、次のように述べています。

「日本企業の大半が「タフ・アサインメント」を実施している一方、内実は期間限定であったり、重要な経営意思決定に関与できないことも多く、変革人材の育成実感は半分にも満たないのが実状です。「あちらを立てれば、こちらが立たず」の経営意思決定を迫られ、結果で判断される「真のタフ・アサインメント」を通じ、変革人材を育成しなければなりません。」

ローランド・ベルガーの企業変革チームを率いるプリンシパルの野本周作は次のように述べています。

「変革人材は偶発的に出現することもあるが、基本的には意識的な育成が必要で、その有効な手段の一つがタフ・アサインメントです。ただ、今回の調査で分かったように、制度は作っても様々な社内事情から適切に運用されている企業はごくわずかであり、トップダウンでリスクを取っていかなくては、いつまでたっても変革人材は不足し、変革そのものも前に進まない結果となります。」

【調査概要】
・調査時期:2025年6月
・調査機関:ローランド・ベルガー
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:全国、男女、20~70代、上場企業に属するCxO・経営企画責任者(CEO等の経営者/役員、または経営企画本部長/部長クラス)
・有効回答数:200名

企業変革は、企業や組織が将来に対応できるよう導くことを目的とするものですが、変革を統括することに加え、組織、人材、およびステークホルダーとのコミュニケーションといった、企業変革に密接に関連する現場における豊富な専門性が求められます。ローランド・ベルガーは、引き続き、あらゆる経営手法を活用しながら、継続的な企業価値の向上に繋がるよう日本の企業をご支援してまいります。

【コンサルティングに関するお問合せ先】ローランド・ベルガーの企業変革チームは、事業構造や財務構造の再構築、抜本的な収益改善、企業再生・変革を手掛ける業界横断型専門チームとして、クライアント企業の変革に向けた各種ご支援を行っています。

下記のお問合せフォームまたは、お電話(03-4564-6660)にてご連絡ください。

田村 誠一
シニアパートナー
東京オフィス, 東アジア
+81 3 4564-6660
野本 周作
プリンシパル
東京オフィス, 東アジア
+81 3 4564-6660
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