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日本はドイツ圏に比べ、企業変革実行時に「ヒト」・組織を重要視する

日本はドイツ圏に比べ、企業変革実行時に「ヒト」・組織を重要視する

2025年10月1日

日本の上場企業CxO・経営企画責任者向け第2回意識調査結果を発表(1)

欧州最大級の経営戦略コンサルティングファームである株式会社ローランド・ベルガー(港区、代表取締役:大橋 譲、以下、ローランド・ベルガー)は、日本の上場企業CxO・経営企画責任者200人を対象に、企業変革への意識を日本・ドイツ圏(注釈:ドイツ・オーストリア・スイス)で比較するため、「第2回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」を実施いたしました。

なお、前回「第1回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」については、 こちら をご覧ください。

先行して2024年にドイツ圏でCxO500人に対し、同様の設問で意識調査を行っており、その結果を比較いたしました。今回新たに国内で実施した本調査を通じて、日本・ドイツ圏を比較した企業変革の取組み傾向、課題意識などの差異が明らかになりました。調査結果の主なポイントは3点です。

① 日本では、ドイツ圏と比べ2倍以上の経営陣が、コスト主導型の企業変革(コスト削減を第一目的とした企業変革)の成功可能性に不透明感を感じている
② その背景には、日本企業の企業変革がドイツ圏企業の1.5倍のテーマを扱わなければならない事態に直面していることが挙げられる
③ 従い、日本の経営陣は、企業変革を成功させるための要素として実行力あるリーダーの存在や、ステークホルダとの調整といった「ヒト」起点の要素を重視している

① 日本では、ドイツ圏と比べ2倍以上の経営陣が、コスト主導型の企業変革(コスト削減を第一目的とした企業変革)の成功可能性に不透明感を感じている

日本では、ドイツ圏と比べ2倍以上の経営陣が、コスト主導型の企業変革(コスト削減を第一目的とした企業変革)の成功可能性に不透明感を感じている
ドイツ圏の方が、コスト主導型の企業変革は成功しないという見方が多い。一方、日本企業は成功するか否か「分からない」という回答が多く、コスト主導型の企業変革の成功に懐疑的な姿勢が多いことが伺える

② その背景には、日本企業の企業変革がドイツ圏企業の1.5倍のテーマを扱わなければならない事態に直面していることが挙げられる

日本企業の企業変革がドイツ圏企業の1.5倍のテーマを扱わなければならない事態に直面していることが挙げられる
企業変革の主要テーマ(複数回答)の平均選択数が、ドイツ圏は2.0個に対して日本は2.9個とほぼ1.5倍となっている。テーマの内容としても、日本企業もドイツ圏の企業も同様に、デジタル・AI活用、コスト削減といった「当たり前」のテーマは選択割合も多いが、日本企業は他のテーマも同時並行的に対応すべきであることが特徴

③ 従い、日本の経営陣は、企業変革を成功させるための要素として実行力あるリーダーの存在や、ステークホルダとの調整といった「ヒト」起点の要素を重視している

日本の経営陣は、企業変革を成功させるための要素として実行力あるリーダーの存在や、ステークホルダとの調整といった「ヒト」起点の要素を重視している
ドイツ圏と比較して、企業変革の成功には、日本企業の方が「実行力のある管理職」と「効果的なコミュニケーション/利害関係者の調整」といった、「ヒト」起点の要素を重視していることが分かる。従い、日本企業の変革成功には、変革を実行する変革人材の存在が重要であることが伺える
「多様なステークホルダを巻き込みながら変革を牽引できる人財の育成が変革の一丁目一番地となってきているのです」
田村 誠一
シニアパートナー
東京オフィス, 東アジア
「平時から変革を推進しなければ、急激な変化が必要な際に後手に回ってしまうため、常に「変革人材」を育成し続けることが必要です」
野本 周作
プリンシパル
東京オフィス, 東アジア

本調査の結果を受け、ローランド・ベルガーの企業変革チームの責任者でシニア・パートナーの田村誠一は、次のように述べています。

「製品・サービスのQCDで競争優位を築き上げる時代は終焉し、事業の収益モデルの転換、更には企業のプロファイルそのものの見直しが求められる時代に突入しています。故に、企業変革のテーマも、複数のテーマを同時並行で進めていくことが求められています。方法論偏重では変革は立ち行かず、多様なステークホルダを巻き込みながら変革を牽引できる人財の育成が変革の一丁目一番地となってきているのです。」

ローランド・ベルガーの企業変革チームを率いるプリンシパルの野本周作は次のように述べています。

「今回の調査では、日本企業は変革推進のためには、「ヒト」の要素を特に重視していることがドイツ圏との比較から浮き彫りになりました。また、日本企業はドイツ圏よりも多くのテーマで企業変革を扱う必要があることも判明しました。斯様な状況では、平時から変革を推進しなければ、COVID-19等のように急激な変化が必要な際に後手に回ってしまうため、常に「変革人材」を育成し続けることが必要です。」

【調査概要】
・調査時期:2025年6月
・調査機関:ローランド・ベルガー
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:全国、男女、20~70代、上場企業に属するCxO・経営企画責任者(CEO等の経営者/役員、または経営企画本部長/部長クラス)
・有効回答数:200名

企業変革は、企業や組織が将来に対応できるよう導くことを目的とするものですが、変革を統括することに加え、組織、人材、およびステークホルダーとのコミュニケーションといった、企業変革に密接に関連する現場における豊富な専門性が求められます。ローランド・ベルガーは、引き続き、あらゆる経営手法を活用しながら、継続的な企業価値の向上に繋がるよう日本の企業をご支援してまいります。

【コンサルティングに関するお問合せ先】ローランド・ベルガーの企業変革チームは、事業構造や財務構造の再構築、抜本的な収益改善、企業再生・変革を手掛ける業界横断型専門チームとして、クライアント企業の変革に向けた各種ご支援を行っています。

下記のお問合せフォームまたは、お電話(03-4564-6660)にてご連絡ください。

田村 誠一
シニアパートナー
東京オフィス, 東アジア
+81 3 4564-6660
野本 周作
プリンシパル
東京オフィス, 東アジア
+81 3 4564-6660
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