東南アジアでは、中国勢のEVによる進出が加速している。「中国」という国自体の存在感は、東南アジア消費者の中で確実に高まった。しかし、筆者はEVとは別に、中国がもたらす新たな東南アジア市場の構造変化についてを提起したい。それは、中国FMCG(Faster Moving Consumer Goods:日用消費財)によるものである。


東南アジア家電市場の構造変化と日本企業が取るべき戦略方向性
家電産業は自動車産業と並び、日本企業が強い技術力を武器にその存在感を世界に示してきた分野である。中でも東南アジアでは当地の親日傾向も相まって、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ等といった各家電市場で高いシェアを誇ってきた。しかし、その栄華に翳りが見え始めてから既に久しい。韓国メーカーは、国家戦略としてのK-POPマーケティングによって東南アジアでのブランド価値を高めてきた。
また、中国メーカーはECシフトが進む東南アジアで、中国資本が入るLazadaやShopeeを流通チャネルとして活用してシェアを伸ばしている。このような韓国・中国勢の戦略は、新たな価値観を持つ東南アジアのZ世代を巧みに捉えた。結果、日本企業のシェアがジリジリと奪われているのだ。だが、この傾向がそのまま今後も続くとは考えていない。東南アジアの家電市場はここから更なる構造変化を迎える。その変化をキャッチし、自らの事業構造をトランスフォームさせることができるか─この点が日本企業が東南アジア家電市場で再び飛躍できるかの鍵である。
本稿では、東南アジア家電市場の現況に触れつつ、これから起こり得る構造変化(以下)を論じる。そして、その構造変化を捉え、日本の家電メーカーがどのような戦略方向性を目指していくかの示唆を提示したい。
1.D2Cチャネルの一般化による顧客接点の変化
2.スマート家電の普及に伴うビジネスモデルの転換
3.中・低価格マーケットが創る新たな市場
4.サブスクリプションモデルによる“所有”から“利用”への転換
5.サステナビリティ対応型製品の拡大に伴うゲームルールチェンジ

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