EV普及指数2025:日本市場の考察

EV普及指数2025:日本市場の考察

2025年10月1日

充電インフラの整備は徐々に進むものの、日本でのEVの普及は道半ば

グローバル版(英語)

EV普及指数2025

EV(*)販売数の減少と充電市場の成長鈍化により、日本は最新のEV普及指数において33カ国中32位になりました。他国が電動化を推進している一方で、日本におけるEVの本格的な普及は未だ道半ばにあり、2023年(第4版)から11位下落しています。

*本稿におけるEVは、PHEV(プラグインハイブリッド車), BEV(バッテリー式電動自動車)を対象とします。

日本のEV販売浸透率は他のほとんどの市場よりも低い

日本の人々がEVに消極的な理由は数多くあります。その一つとして、日本人のマンション居住者の割合が高く、自宅で充電できる人が限られていることが挙げられます。公共充電インフラの整備が遅れているという認識もありました。しかしこの問題は政府の投資増加と支援策によって改善傾向にあるという見方がユーザーの中で広がりつつあります。また、日本人は新しいことに対してやや保守的な傾向もあり、これも一因となっています。

「生活者は必ずしもEVというパワトレを入口に選んでいるとは限りません。EVである前にひとつの車両、移動手段として、本質的な価値を見つめ直すことが大切です。」
貝瀬 斉
パートナー
東京オフィス, 東アジア

日本の人々がEVに消極的な理由は数多くあります。その一つとして、日本人のマンション居住者の割合が高く、自宅で充電できる人が限られていることが挙げられます。公共充電インフラの整備が遅れているという認識もありました。しかしこの問題は政府の投資増加と支援策によって改善傾向にあるという見方がユーザーの中で広がりつつあります。また、日本人は新しいことに対してやや保守的な傾向もあり、これも一因となっています。

日本で電気自動車(EV)を運転する人は、長距離移動よりも、街中の短距離移動のためのセカンドカーとして利用する傾向があります。日本のバッテリー式電気自動車(BEV)ユーザーのうち、年間走行1万km未満の人は、40%強を占めています。これは、世界平均(20%)の2倍に相当します。

「EVを取り巻く状況は従来のICE(ガソリン車)に比べて各国での違いが大きく表れてきています。例えば、日本のEVユーザーは短距離移動用のセカンドカーとしてEVを利用する傾向があります。ただし、重要なのは車両(製品)を各国によってカスタマイズすることよりは、顧客体験(CX)を国/地域によって再設計することであると考えます」
呉 昌志
パートナー
東京オフィス, 東アジア

そのため、日本の多くのEVユーザーは軽EVを好んでおり、日産のSakuraが最も人気があります。中国のBYDは、このカテゴリーでまもなく競合製品を日本国内で発売する予定です。

ただし、日本の調査回答者のうち、実際にEVを次の車として検討している割合が78%であることも事実です。これは世界平均の87%を下回り、アジア太平洋地域の平均(90%)をさらに下回っています。

日本のEVユーザーは充電ネットワークにさらなる改善を期待

日本の公共充電インフラは拡大しているものの、その成長率は緩やかです。2024年には、公共充電スポット数は17%増加しましたが、これは世界平均の成長率33%の半分にとどまります。したがって、日本のEVユーザーは、国内の充電インフラに改善の余地がまだ大きいと感じています。回答者の3分の2弱(64%)が、充電環境全体に「非常に満足」または「かなり満足」と回答しましたが、これは世界平均の89%、アジア太平洋地域の平均88%よりも、低水準でした。

「充電という『時間のかかる行為』は、EVユーザーの生活の中に溶け込ますことが重要になります。人々の移動シーンと移動先での滞在の仕方をとらえた充電インフラの配置を考えていくことが必要となります。」
山本 和一
ディレクター
東京オフィス, 東アジア

日本の公共充電インフラに対するユーザーの満足度は改善傾向にあるものの、他国に比べて下回っています。例えば、「公共充電はより便利になっている」と回答した人はわずか63%で、世界平均の76%、アジア太平洋地域平均の82%を下回っています。

日本では、公共充電器の3分の1が急速充電スポットであるにもかかわらず、ここでの充電速度が十分であると回答したユーザーはわずか40%にとどまりました。これは、世界平均の60%、アジア太平洋地域平均の58%を大きく下回る数値です。

日本の公共充電コストへのユーザー評価に関してはやや改善が見られますが、それでも海外に比べて、依然として当社の調査では平均より劣後しています。世界全体では、EVユーザーの3分の1が公共充電コストを下げるべきだと回答していますが、日本ではそれよりも多い43%のユーザーがコスト低減を望んでいます。

公共充電スポットの最新情報の入手

公共充電スポットの情報入手に関して、日本ではOEMのアプリや車のダッシュボードディスプレイを好むユーザーの割合が最も高くなっています(44%)。

これは充電という行動がユーザーにとって新しいものであり、かつ充電スポットが十分に普及していないが故に、ユーザーとしてはEVを購入したOEMが提供するサービスをそのまま活用した結果であると推察されます。

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