EV Charging Index 第4版:安定を取り戻すEVとその充電市場

EV Charging Index 第4版:安定を取り戻すEVとその充電市場

2023年7月20日

充電インフラの急成長に牽引され、EV市場はこの数カ月で力強い回復を遂げた

ローランド・ベルガーが世界EV市場の動向を継続的に調査している「EV Charging Index」第4版では、EV普及動向を示す指標において、調査対象の殆ど全ての国が過去最高のスコアを記録し、そのうち数カ国は順位を上げる結果となった。
また、EVに対する消費者の行動が変化してきていると共に、EV充電インフラに対するOEM戦略に地域ごとに違いが現れ始めている。

A DC public charging station
Fast chargers are making public-charging networks far more popular.
「DC chargers are now growing faster than AC chargers in public charging.」
Portrait of Bob Zabors
シニアパートナー
シカゴオフィス, North America

2022年上半期の世界のEVおよびEV充電インフラ市場は、ウクライナ戦争とそれに続くエネルギー危機により低迷したが、その後のエネルギーコストの安定化に従い、下半期には複数の主要な指標が過去最高を記録するまでに回復した。
特に、EV販売数量と充電インフラに関する指標が好調となった。これは各国での充電ネットワークの急速な拡大や、米国などの主要市場における改善の影響が大きかったと言える。
国別のスコアは、中国が82ポイント(100ポイント中)を獲得し再び首位になった。また、ドイツ(74)、米国(73)、オランダ(69)、ノルウェー(65)が急速に追い上げた結果、首位の中国と後続国との差は前回に比べて大きく縮まった。なお、これら上位5カ国全てが過去最高のスコアを記録している。

「Overall, 56% of respondents said their range anxiety was high or very high.」
Portrait of Tim Longstaff
パートナー
ロンドンオフィス, Western Europe

本レポートは、5地域の30カ国を対象とし、業界インタビューや全地域の1万6千人に対するアンケート調査に基づいて31の指標を作成している。
第4版では、スコアやランキング、EVおよびEV充電インフラ市場の最新動向を紹介する。また、「EVへの関心に影響を与える要因」、「公共のEV充電ネットワーク」、「消費者行動の変化」、「地域によって異なるOEMのネットワーク戦略」という4つのトピックに関する分析も実施した。
特定の市場に関する専門家のインタビューも今回初めて掲載している。

※レポート全文は本ページ下部よりダウンロードいただけます。

パフォーマンスとドライバー

上位5カ国については、ドイツ、アメリカがスコアを大きく伸ばす中で、他の多くの国でもスコアの改善が見られた。例えば、マレーシア(41)、インドネシア(41)は、共に12ポイント上昇、また、最下位のサウジアラビアも16ポイントから27ポイントにスコアを伸ばしている。中東と東南アジアの国々のスコアが改善したことにより、世界の平均スコアは、45ポイントから51ポイントに上昇した。これは、世界のEV充電市場の堅実な成長を示していると言える。

スコア上昇の主な要因の一つに、EVの低価格化が挙げられる。高価格帯のEVモデルの選択肢は豊富である一方、低価格帯の選択肢は少ないという従来の状況に対して、OEM各社に動きが見られるようなってきている。例えば、テスラは、既存モデルの価格を引き下げようとしている。またBYDは、中国においてベーシックモデルのSeagullを12,000米ドルから提供する予定である。

また、EV充電インフラ市場の発展もスコア上昇の要因の一つである。例えば、テスラは、急速に拡大する同社のスーパーチャージャー・ネットワークを一般に開放することについて、2022年後半から検討を開始している。また、GMは、新子会社のGM Energyを通じて総合的な充電サービスに乗り出すことを発表した。

とりわけ大きな影響があったのは、米国政府による一連の新法と電動化への投資の発表であろう。インフレ抑制法(IRA)、EV充電プログラム(NEVI)、CHIPS法と数十億ドルの資金投入は、EV販売、充電インフラ、半導体製造能力に大きな影響を与える可能性が高い。

「More than 70% of premium-brand EV owners say that an own-brand network will significantly influence their decision to buy from that brand.」
Portrait of Ron Zheng
シニアパートナー
上海オフィス, Greater China

注目すべき特集

第一に、EVへの関心に影響を与える要因が地域によってどのように異なるかを考察した。また、販売回復の規模概算、ウクライナ戦争の影響評価も実施している。

第二に、公共充電ネットワークの急拡大に影響するドライバーを評価した。また、急速充電に対する世間の認識についても論じている。

第三に、変化する顧客行動を分析し、グローバルの公共充電の普及率が90%に達する中でも航続距離への不安が依然として大きな課題であることを明らかにした。

そして最後に、充電インフラに関するOEMの戦略が地域によってどのように異なるかについて取り上げた。

ランキング、市場動向、特集テーマの詳細については、レポート全文をダウンロードの上、ご覧ください。

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ローランド・ベルガーが世界EV市場の動向を継続的に調査している「EV Charging Index 」の第4版「安定を取り戻すEVとその充電市場」のレポート全文をダウンロードいただけます。

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